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夢の心96
私は泥のような眠気に耐えられず、深い眠りに落ちて行った。
当面の行動予定が決まり、演出なのだが子供達を交えた型通りの家族団欒を演じた後、私は床に就いた。
勿論半信半疑の妻とは別々の部屋で私はこれから先の事を瞼を閉ざしたまま思案する。
己の心の有り様をじっと凝視して行くのだが、やはり家族愛は微塵も無いのを感じる。
それは醜い心の所作なのだが、在るがままの私の心なのだから、変えようは無いと思う。
そしてここが夢の迷路ならば、私は死んでいるのか生きているのかも定かではない。
つまりここが現実ならば、私が自殺を図れば死ぬのだろうが、訪れる死がどんなものかは分からない理屈になるわけだ。
ならばここが夢の迷路であることを突き止め、自意識を維持して、目指す闇の快楽になる事を手探りするしかないと私は思う。
眠気が差して来た。
眠れば、訪れるものが死なのか夢の迷路なのか分からないが、私は泥のような眠気に耐えられず、深い眠りに落ちて行った。




