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夢の心89
「と言うか、眠ったらそのまま死んでしまう可能性もあるじゃない」と妻は言った。
私は言った。
「いや、試しようはあるさ」
「どうやって試すの?」
私は考える間を置き答えた。
「ここが現実に酷似した夢の迷路ならば、僕はやがて眠くなり、新たなる夢の迷路に入り、そこで君の分身たる女性に出会えると思うのさ」
妻が笑い言った。
「私に会える保証無なんか無いじゃない、と言うか┅」
私は訝った。
「と言うか、何だ?」
妻が私を睨み付けたまま言った。
「と言うか、眠ったらそのまま死んでしまう可能性もあるじゃない」




