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夢の心84
「貴方は黒い闇の快楽にはなれなかったのでしょう?」と妻は言った。
妻が言った。
「確かに夢には生死の概念は無いわよね。でもここは現実なのだから、死んでしまえば肉体感覚もなくなり、貴方は貴方でなくなるのよ。それでもいいの?」
私は頷き肯定した。
「肉体が失せ、黒い闇の快楽になる為に、僕はそれを望み自殺したのだから、それは望むところではないか」
妻が言った。
「でも貴方は結局黒い闇の快楽にはなれなかったのでしょう。ならばそれになる事は無理なのではないかしら」
私は再度首を振り答えた。
「いや、直前まで行ったのだから、目的達成するまでひたすらやり抜くしかないのさ」




