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夢の心83
「先ずここが本物の現実かどうかを見極めて、突破するまでやるしかないのさ」と私は言った。
妻が言った。
「だから貴方はこの現実を突破して死にたいと言っているのね?」
私は再度否定した。
「いや、違う。僕は生死の概念の無い夢の迷路を突破して、本物の現実に戻り、黒い闇の快楽死を望んでいるのさ」
妻が言った。
「突破出来なければどうするの?」
私は答えた。
「突破するまで夢の迷路をさ迷うしかない」
妻が言った。
「でも突破したと錯覚して、その後死んだと錯覚しても、貴方はこの現実からも、死ぬ事も永遠に出来ないじゃない。それでもいいの?」
私は答えた。
「先ずここが本物の現実かどうかを見極めて、突破するまでやるだけさ」




