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夢の心82
「だから貴方は私を疑っているの?」と妻は言った。
妻が泣くのを止め敵愾心を顕にして言った。
「この現実には生死の概念は無いと貴方は言うの?」
私は首を左右に振り答えた。
「いや、ここが夢の迷路ならば、生死の概念は無いと僕は言っているのさ」
妻が私を睨み言った。
「でも貴方は叩かれれば痛いでしょう。それがこの現実に生きている証拠じゃない?」
間を置き私は妻の意見を否定した。
「夢の迷路にも君の言う肉体感覚はあったからな┅」
妻が言った。
「だから貴方は私を疑っているの?」
私は答えた。
「君だけではない。僕はこの夢の迷路全体を疑っているのさ」




