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夢の心79
「心なんか無くてもいいのさ。僕はこの夢の迷路を突破して黒い闇の快楽になりたいのだから」と私は言った。
妻が言った。
「貴方は子供達が可愛くはないの、貴方は生死の境界線をさ迷い完全に狂ってしまったのね?」
私は強張った表情のままに答えた。
「可愛いも何もない、僕はみなしごで施設にいたのだから、妻や子供なんかいる筈はないじゃないか」
妻が悲しげに眼を潤ませ言った。
「貴方は夢に魂を奪われてしまったのね」
瞬きもせずに私は答えた。
「夢の迷路が僕の魂を奪い、又この夢の迷路も僕に愛を押し付け、魂を奪おうとしているだけではないのか?」
妻が言った。
「愛を失えば心を失う事になるから、今貴方には心がないわ」
私は眼を細め答えた。
「心なんか無くてもいいのさ。僕はこの夢の迷路を突破して黒い闇の快楽になりたいのだから」




