76/437
夢の心76
「ここが地獄ならば貴方はどうするの、又死ぬの?」と妻が言った。
妻が嘆息してから言った。
「ここが地獄ならば貴方はどうするの、又死ぬの?」
私は見慣れないマンションの中に目配せしながら答えた。
「いや、死んでもこの迷路からは出れそうにないから、死にはしない」
妻が再度嘆息してから言った。
「ならばどうするの?」
私はソファーに腰掛け言った。
「この迷路を脱出する突破口を目指す」
妻がソファーに座り呆れ顔をしてから言った。
「だから、それは死ぬ事を言っているのでしょう?」
私は言った。
「いや、既に僕は死んでいるかもしれないし、改めて死ぬ必要はないじゃないか┅」




