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夢の心73
「分かった。ここが夢の迷路で、僕が望まない生を希求して、闇の無の快楽に埋没出来るのならば一緒に帰ろう」と私は妻に向かって言った。
私は言った。
「やはりここは夢の迷路の内側であり、死は生で生は死の罠に僕は嵌まったようだな。ならば君は夢の迷路にいた女性で死の代弁者なのか?」
妻が驚き顔をしてから言った。
「貴方は一体何を言いたいの、生き返ったのが嬉しくないの?」
横たわったまま瞼を伏せ私は言った。
「僕は他者など愛せないし、だからこそ快楽に満ち溢れた闇の無の死を選んだのだし、それが僕に取っては最良の死としての生ならば、嬉しい筈なんか無いではないか┅」
妻が涙ぐみ言った。
「貴方は精神を病んでいるから、そんな事を言っているのよ。せっかく生き返ったのだし、早く私と一緒に帰りましょう?」
私は言った。
「分かった。ここが夢の迷路ならば、又僕は望まない生を希求して、逆に闇の無の快楽に埋没出来るのならば一緒に帰ろう」




