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夢の心71
「僕はみなしごなのだろう?」と私は妻に尋ねた。
私は妻に尋ねた。
「僕はどんな死に方をしたのだ?」
妻が涙を拭い答えた。
「首を括ったのよ。でも本当に助かって良かった」
私は横たわったまま自分の手首を見やり、おもむろに言った。
「僕は手首を切ったのではないのか?」
妻が泣き笑いの表情を浮かべ言った。
「貴方は昏睡状態のまま長い夢を見ていたのよ」
私は訝り再度尋ねた。
「僕はみなしごなのだろう?」
妻が答えた。
「いえ、貴方はみなしごなんかじゃないわ」
私は妻に対する不信感を募らせつつ言った。
「何故僕は何も覚えていないのだろう┅」
妻が答えた。
「仕方ないじゃない。自殺未遂したのだから、本当に助かって良かった」




