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夢の心70
喜ぶ妻を前にして、私は違和感を禁じ得なかった。
ベッドに横たわりながら私は妻に言った。
「僕は生き返ったのか?」
妻が答える。
「そうよ、貴方は生き返ったのよ。おめでとう」
僕は泣き笑いの顔をして嘆息してから言った。
「でも僕は死んで黒い闇そのものとなった筈なのに。それに快楽が失せているのも変だし。僕はみなしこで妻なんかいない筈だし┅」
妻が言った。
「かんぐっても仕方ないじゃない、とにかく生き返ったのだし、それを感謝しないと」
私は言った。
「感謝するのはやぶさかではないけど、違和感を感じるのさ」
妻が言った。
「考え過ぎよ」




