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夢の心7
僕の心は夢の花の心になった?
私の影の身体は熱を帯びたまま膨張して空間を占有して行く。
つまり私の影の身体がおぼろ月を圧迫して、追い詰め、私はその苦痛に死にそうになっているのだ。
「熱い、熱い、熱い、止めてくれ!」と私は叫んだ。
だが女性は「大丈夫です」の一点張りで、私の苦しみを理解してはくれない。
そして私の影の身体の苦痛はやがて影の摂理に準じて、おぼろ月に吸収され、私はおぼろ月として、封じ込められている私を圧迫し始めた。
つまり私はおぼろ月を圧迫しているのと同時に影の私の身体を圧迫しているのであり、その巨大なる苦痛は怒髪点を突くような塩梅だ。
私は苦し紛れに叫んだ。
「助けてくれ!」
次の瞬間、私は桃の花の心になり、近所の道端を歩いている。
私は女性に向かって言った。
「僕は桃の花の心になったのか?」
女性が答えた。
「そうです」