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夢の心68
「た、す、け、て、くだ、さ、い」と女性は消え入りそうな声で訴えた。
女性が消え入りそうな声で訴えた。
「貴方は、途方に、暮れ、困った時、私に助け、を求めた、でしょう、そ、それと同じように、私は今貴方に、助けを、求めているのです、どうか、助けて、下さい」
黒い闇の声が言った。
「早くその女を消してしまえ!」
私は黒い闇の声に同調して、仄かにある自分自身の心の疼きを消し去るように、女性の存在を渾身の力を以て消して行く。
女性がうめき声を上げ、言った。
「た、す、け、て、くだ、さい」
黒い闇の声が催促する。
「早く消せ!」
私は軽く顎を引き、女性の存在を自分自身の心から、容赦なく完全に消し去った。




