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夢の心61
「お前はこの夢の迷路が信じられないのか?」と黒い闇の声は言った。
私は答えた。
「この快楽が失せた後に真っ暗な闇の無に同化するのは絶対に嫌だし、苦しみを知った桃の花の心
になったとしても、厳しい現実に戻るのは嫌だし、どちら共言えない」
女性が言った。
「貴方は人の苦しみを知った愛ある美しい心に戻ったのだから、厳しい現実に虐められたりはしません」
私は快楽を噛みしめながら言った。
「貴女の優しい言葉を信じたいのは山々なのだが、でもこの迷路をさ迷っている最中、貴女の言葉は二転三転しつつ矛盾だらけで、それを思うと残念ながら信じられないのだ」
黒い闇の声がせせら笑い言った。
「お前はこの夢の迷路自体を信じられないのか?」
私は熟慮する間を置き言った。
「そうなのかもしれないな」




