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夢の心60
「迷いが吹っ切れない内は両方共信じられない」と私は言った。
黒い闇の声が言った。
「俺はお前自身の心の反映、言わばお前自身でもあるのだぞ。お前は自分自身の言葉が信じられないのか?」
ややもすると快楽に身を委ねようとする自分に鞭を打って私は答えた。
「そこにいる女性も僕の心の分身ならば、二人の心の分身が現れているのは、僕自身の心が生死の狭間でどちらを選ぶのか迷っている証拠だから、迷いが吹っ切れない内は両方共信じられないのは当然ではないか」
女性が肯定した。
「それはそうですね」
黒い闇の声が言った。
「だから迷いを吹っ切るのは簡単だと俺は再三言っているのだ。楽な方を選ぶのか、苦しい方を選ぶのかお前はどちらなのだ?」




