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夢の心6
念じると、私はおぼろ月に対抗するように満月になり、膨張して爆発しそうになった。
私は女性の言葉に従い、念じ始めた。
だが念じろと言われても、どうしても考えてしまう。
詰まるとごろ、何故月を見上げて、その罰に封じ込められ、桃の花の心になれば、心が浄化され、女性を助ける美しい心になって行くのか、その道理が全く分からないから考えてしまうのだ。
そんな雑念を女性が諭して来た。
「考えないで、念じて下さい」
私は「分かった」と返事して、息を抜き心の中で念じた。
「桃の花の心になりたい、桃の花の心になりたい」
そうやって何度となく念じたのだが、私の心には一向に変化が現れない。
それどころか、私の念じが逆転して私の影の身体が膨らみ出し、熱を持っておぼろ月に対抗する如く満月になり、爆発しそうな勢いで膨張して行く。
思わず私は叫んだ。
「何故影の僕が満月になって膨らみ出し、爆発するのだ、このままでは死んでしまう!」
女性が答えた。
「いえ、それでいいのです」