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夢の心44
「駄目です、苦しみから逃れてはいけないのです!」と女性が強く主張した。
意識が薄れ、遠ざかって行く中、唐突に女性の声が聞こえた。
「駄目です、しっかりして下さい!」
その声に私は力を与えられ、尋ね返した。
「死ぬのが心地良い。僕はやはり自殺したがっていたらしい、死なせてくれないか?」
女性が強く否定する。
「駄目です、貴方は私を助け、安息の地たる家を目指すしかないのです!」
私は力なく答えた。
「でも、この闇と同化するのが快感なのだ」
女性が強く主張した。
「駄目です、苦しみから逃れてはいけないのです!」




