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夢の心425
「まだまだよ、もっともっと苦しめて上げるわ」と妻が言った。
妻が続ける。
「何度も言うけれども、貴方を白い闇の快楽にさせて、永劫なるエクスタシーに一体化させるのは黒い闇の私にとっては簡単なのよ。でもそれでは私の気が済まないからこそ、貴方は苦しんでいるのよ。だからもっともっと苦しめばいいのよ」
私は狂おしく笑い叫んだ。
「詭弁だ、貴様は俺の心の反映たる妻の声だと言ったじゃないか、何故貴様が黒い闇なのだ、明らかに詭弁じゃないか、腐れ外道!」
妻がせせら笑い答えた。
「それも矛盾不条理の夢の迷路の実存なのよ。だから私は貴方の心の反映たる妻の声であるのと同時に黒い闇の快楽としての実存なのよ、分からない?」
私は再度けたたましく笑い叫んだ。
「もう何でもいい、早く俺を自我崩壊させて殺せ、腐れ外道め!」
妻が再度せせら笑い答えた。
「まだまだよ。もっともっと苦しめて上げるわ」




