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夢の心424
「うるさい、嘘だ、嘘だ、嘘だ、俺は貴様の言う事など信じない!」と私は抗い叫んだ。
私は泣き笑い叫んだ。
「うるさい、詭弁を弄するな、貴様は全て俺の心の反映だと言ったじゃないか、ならばこの夢の迷路も白い闇の快楽も全て幻覚ではないのか、腐れ外道め!」
妻が冷笑して言った。
「違うわよ、貴方。説明して上げるからちゃんと聞いて頂戴。確かに私の声は貴方の一人芝居の産物だけれども、貴方が選んだ自殺の道程に実在するのが夢の迷路であり、その夢の迷路の構成要素たる白い闇も実在している確かな実存なのよ」
私は反駁した。
「ならば俺をがんじがらめにしているのは俺自身ではなく、他者たる夢の迷路の白い闇ならば、貴様の言っている事は明らかに詭弁ではないか、腐れ外道!」
妻が物静かに言った。
「矛盾して不条理で理不尽なのが夢の迷路の実存じゃないの、違うかしら?」
私は快楽に飲み込まれそうな喜悦を圧し殺して叫んだ。
「嘘だ、嘘に決まっている、貴様の言う事など俺は信じない、腐れ外道め!」




