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夢の心421
「黙れ、腐れ外道、俺はちーちゃんを助けて見せる!」と私は快楽に翻弄されながら叫んだ。
妻が冷笑して答えた。
「当然じゃない、貴方の幻想なのだから」
私は反駁した。
「俺の耳にははっきりと聞こえるぞ、腐れ外道め!」
妻が再度せせら笑い言った。
「ここは夢の迷路よ。逆に言えば貴方に見えるリアルな現実は無いと思うけれども、違うかしら?」
私は快楽に喜悦する自分の欲求に逆らい喚いた。
「ちーちゃんの声は確かに俺に助けを求めているじゃないか、貴様にも聞こえるだろう!」
妻が事もなげに言った。
「私にはちーちゃんの声など聞こえないわ。と言うか┅」
私は逆らい喚いた。
「何だ!」
妻が冷淡に笑い言った。
「と言うか、貴方が聞いている私の声も貴方の身勝手な幻想に過ぎないし、貴方のこの世に対する最期の偽善的未練じゃない、違うかしら?」
私は反駁した。
「黙れ、腐れ外道、俺はちーちゃんを助けて見せる!」




