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夢の迷路  作者: 岩本翔
410/437

夢の心410

「約束通り、私は貴方をいたぶって楽しんでいるのよ」と妻が冷笑して言った。

妻がうそぶき答えた。


「私が単に黒い闇の声になれば、貴方の意識を混濁させて自我崩壊させるのは簡単なのよ。この理屈も分かるでしょう?」


私はうろたえ喚いた。


「ならば、何故そうしないのだ?!」


妻が冷笑して余裕綽々の口調で言った。


「私は楽しんでいるのよ」


私は泣き笑いの表情をして喚いた。


「それはどういう意味だ?!」


妻が答えた。


「約束通り、私は貴方をいたぶって楽しんでいるのよ」


家族愛を取り戻した私は、妻のその言葉に深い悲しみを覚えて言った。


「自我崩壊させるならば、早く自我崩壊させて、俺を殺せ!」


妻が冷笑して言った。


「そう簡単には殺さないわよ。じわりじわりと生き地獄を味会わせて上げるから、覚悟しなさいよ」


私は泣き笑いの表情のまま、その弱気をはね除けるように喚いた。


「俺は死なない、ちーちゃんを助けるまでは死んで堪るものか!」

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