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夢の心410
「約束通り、私は貴方をいたぶって楽しんでいるのよ」と妻が冷笑して言った。
妻がうそぶき答えた。
「私が単に黒い闇の声になれば、貴方の意識を混濁させて自我崩壊させるのは簡単なのよ。この理屈も分かるでしょう?」
私はうろたえ喚いた。
「ならば、何故そうしないのだ?!」
妻が冷笑して余裕綽々の口調で言った。
「私は楽しんでいるのよ」
私は泣き笑いの表情をして喚いた。
「それはどういう意味だ?!」
妻が答えた。
「約束通り、私は貴方をいたぶって楽しんでいるのよ」
家族愛を取り戻した私は、妻のその言葉に深い悲しみを覚えて言った。
「自我崩壊させるならば、早く自我崩壊させて、俺を殺せ!」
妻が冷笑して言った。
「そう簡単には殺さないわよ。じわりじわりと生き地獄を味会わせて上げるから、覚悟しなさいよ」
私は泣き笑いの表情のまま、その弱気をはね除けるように喚いた。
「俺は死なない、ちーちゃんを助けるまでは死んで堪るものか!」




