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夢の心401
「僕はちーちゃんの父親だから、苦しんでいるちーちゃんを何とか助けてやりたいのだ」と私は黒い闇としての妻に言った。
黒い闇の声が妻の声で言った。
「貴方にちーちゃんを助けられる力は無いじゃない。貴方は既に人間存在として機能していないのだから、そんな貴方がどうやってちーちゃんを助けるの、早く快楽と一体化してしまえばいいのよ?」
妻としての黒い闇の声を聞いて、混濁する私の意識は何故か矛盾して、明晰さを取り戻した。
「確かに僕は死に損ないだけけれども、苦しんでいるちーちゃんを何とか助けたいのだ」
妻の声と黒い闇の声が入り交じりながら、再度私を責めて来る。
「貴方は錯覚して自分の肉体が在ると誤って認識しているけれども、それは夢幻であり、既に人間として貴方は機能していないのよ。だからちーちゃんを助ける事は出来ない相談なのよ」
私は白い闇の中泣き笑いの表情を作り言った。
「僕はちーちゃんの父親だから、苦しんでいるちーちゃんをただ助けたい、それしかないのだ」




