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夢の心397
「ならば自我崩壊して自滅するがいいさ」と黒い闇が冷笑して言った。
黒い闇の声が言った。
「お前自身がお前自身の真の欲求を猿真似で汚し続ければ、お前は本当に一番恐れている自我崩壊の憂き目を見るぞ」
ややもすると忘我しそうになる自分を奮い立たせ、私は叫んだ。
「俺は負けない、貴様などに負けて堪るものか!」
黒い闇の声が嘲笑い言った。
「負けるも何も無い。お前は既に負けているからこそ、夢の迷路の最果ての地であるこの白い闇に包まれ、自分自身に勝ったのではないのか?」
私は白い闇を振り払うように叫んだ。
「うるさい、ちーちゃんを出せ、出すんだ!」
再度冷笑して黒い闇が言った。
「お前は人生という無間地獄から抜け出し勝ったのだぞ、猿真似はそこまでにしろ?」
私は叫んだ。
「俺はちーちゃんの父親だ、だからちーちゃんを助けるのだ!」
黒い闇がおもむろに言った。
「ならば自滅するがいいさ」




