395/437
夢の心305
私はまとわりつく快楽を、両手で頬を打ち振り払い「ちーちゃんを出せ!」と叫んだ。
黒い闇の声が言った。
「いいか、お前が恐れている自我崩壊の黒い無は、お前が今味わっている永遠なる快楽であり、それを恐れる事はないと俺は言っているわけだ。分かるか?」
私は快楽に埋没しそうな自分に再度喝を入れ、かぶりをを振り怒鳴った。
「うるさい、ちーちゃんを出せ!」
黒い闇の声が冷笑して言った。
「自我崩壊する無はその快楽に過ぎないから、恐れる事は無いのだ。だからお前もピエロの猿真似は止めて、快楽に埋没して、それを堪能すればいいのだ」
私は怯みそうな自分にむち打ち叫んだ。
「うるさい、ちーちゃんを出せ!」
黒い闇の声が言った。
「自分を守ろうとする恐怖感は自己保存本能の成せる業であり、けして美しい親子愛ではあるまい。違うのか?」
私は己の頬を両手で打ち、かぶりを振り叫んだ。
「うるさい、うるさい、うるさい、ちーちゃんを出せ!」




