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夢の心393
「うるさい、ちーちゃんを出せ!」と私は抗い叫び続けた。
黒い闇の声に混じってちーちゃんの声が聞こえた。
「パパ、助けて」
その声を真似るように黒い闇の声が言った。
「パパ、助けて」
私は耳を塞ぎ叫んだ。
「貴様は誰だ!」
黒い闇の声が嘲笑い答えた。
「俺がお前の子供の真似をしたのさ。どうだ、そっくりだろう?」
私は抗い叫んだ。
「うるさい、黙れ!」
黒い闇の声が再度嘲笑い言った。
「俺はお前の心の反映、分身ならば、つまりこの猿真似もお前が望んだ結果としての欺瞞に満ちた快楽の正当化なのではないのか?」
私は抗い続ける。
「うるさい、そんなのは嘘だ、ちーちゃんを出せ!」
黒い闇の声がせせら笑い言った。
「お前は肉体が失せた死人なのに、瀕死の我が子を美談よろしく助ける欺瞞的猿真似をして、自己満足、快楽の度合いを深め、その結果悪魔の冷酷な快楽しかない境地に至りたいだけなのさ、違うのか?」
私は再度快楽を振り払うべく、かぶりを激しく振り抗い叫んだ。
「うるさい、ちーちゃんを出せ!」




