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夢の心39
「僕は生きたいのだ!」と私は熱い涙を流しながら喚いた。
私は嘆息してから言った。
「いや、僕は死なない。何故ならば僕は今もこうして自意識をしっかりと保っているからな」
黒い闇の声が穏やかな口調で続ける。
「今まではな。だがこれから先どうなるのか分からないではないか?」
恐怖と不安に私はいたたまれなくなり、再度喚いた。
「僕は安息たる地を目指しているのだ。だから僕には死に神など用はない。立ち去れ!」
黒い闇の声がせせら笑い優しく言った。
「俺はお前の死にたい願望に引き寄せられて、ここにいるのだ。それに孤児院がお前の安息の地なのか。あんなに虐められ、恐怖におののく場所など、けしてお前に取っては安息の地ではないだろう、違うのか?」
私は力の限り抗い喚いた。
「うるさい、それでも死ぬよりは増しだ!」
黒い闇の声が優しく諭すように言った。
「誤解するなよ。俺はお前の心の分身なのだ。だから死にたいという欲求はお前の本心でもあるのさ」
私は熱い涙を流して喚いた。
「そんな筈はない、僕は生きたいのだ、それしかない!」




