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夢の心382
桃の花びらから聞こえて来る下の子の助けを呼ぶ声が段々小さくなって来た。
咲き乱れる満開の桃の花びらから聞こえて来る、下の子の助けを呼ぶ声が段々聞こえなくなって来ているのを、もう一人の私が聞き付けて言った。
「おい、段々声が聞こえて来なくなっているぞ」
私は声に耳を傾け、確かに声が聞こえて来なくなっているのを確めてから言った。
「どうなっているのだ?」
間を置きもう一人の私が答える。
「命の灯火が消え掛かっているのか?」
私は狂おしく喚き散らした。
「そんな事は無い、あの子は死なない、死んで堪るものか!」
「落ち着け、落ち着いてお前から声を掛けてみたらどうだ?」
動揺している私は、言われた言葉の意味が分からず叫んだ。
「何に声を掛けるのだ?!」
もう一人の私が冷静に答えた。
「花びらに声を掛けてみろ」




