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夢の心367
黒い闇との距離感が遠ざかったのを感じつつ、私は妻に話し掛けた。
内心、やはり妻に話し掛けないと黒い闇との距離感は縮まらないと感じ、私は妻に話し掛けた。
「君は美味しいかい?」
無表情のままに妻が答えた。
「不味いわ」
私は泣き笑いの表情を浮かべ再度尋ねた。
「それは僕のせいかな?」
妻が素っ気なく答えた。
「貴方の事なんか関係無いわ。不味い物は不味いから、不味いのよ」
私は取りなすように言った。
「そうか、店選びがまずかったかな?」
妻が再度素っ気なく答えた。
「それも関係無いわ。今日は不味いのよ」
黒い闇から遠ざかって行くのを感じ取りながら、私は首を傾げ尋ねた。
「どうして今日は不味いのだろう?」
フォークを持ったまま妻が答えた。
「コックが違う人なのよ、きっと」




