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夢の迷路  作者: 岩本翔
367/437

夢の心367

黒い闇との距離感が遠ざかったのを感じつつ、私は妻に話し掛けた。

内心、やはり妻に話し掛けないと黒い闇との距離感は縮まらないと感じ、私は妻に話し掛けた。


「君は美味しいかい?」


無表情のままに妻が答えた。


「不味いわ」


私は泣き笑いの表情を浮かべ再度尋ねた。


「それは僕のせいかな?」


妻が素っ気なく答えた。


「貴方の事なんか関係無いわ。不味い物は不味いから、不味いのよ」


私は取りなすように言った。


「そうか、店選びがまずかったかな?」


妻が再度素っ気なく答えた。


「それも関係無いわ。今日は不味いのよ」


黒い闇から遠ざかって行くのを感じ取りながら、私は首を傾げ尋ねた。


「どうして今日は不味いのだろう?」


フォークを持ったまま妻が答えた。


「コックが違う人なのよ、きっと」



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