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夢の心364
私は背筋にエクスタシーが走るのを感じた。
私は妻との回りくどいやり取りが、やはり逆説的に黒い闇の快楽生への架け橋となると、直感的に感じつつ、再度哀願した。
「そんな事言わないで早く殺してくれ」
妻が女性の声を引っ込めて答えた。
「駄目よ、そう簡単には殺さないわよ。貴方にはもっともっと苦しんで貰わないと┅」
この焦らしも私は気に入った。
何故ならば、この焦らしが黒い闇の快楽を少しだけ私に感じさせたから私は気に入ったのだが、私は逆に顔をしかめ切々と哀願を繰り返す。
「頼む、殺してくれ」
「駄目よ、殺さないわ」
「頼む」
「駄目よ、殺さないわ」
私は背筋にエクスタシーが走った。
そしてこの繰り返しが、私に無上の悦びを与えている事を、私はひたすら隠し哀願し続けた。




