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夢の心361
「するよりは、された方が楽じゃないか」と私は言った。
上体を起こして私は尋ねた。
「何が変なのだ?」
妻が答えた。
「貴方は自殺する勇気はなくても、殺される勇気はあるわけ?」
私は腕を組み答えた。
「殺されるのは半ば強制的だからな。自殺する事に他人の強制力は働かないじゃないか」
間を置き妻が反論した。
「でも貴方は私に殺してくれと頼んでいるじゃないの。それは死ぬ覚悟があってこその、私に対しの強制じゃないの、違う?」
私は沈思黙考してから答えた。
「するよりは、された方が楽じゃないか」
妻が尋ねて来た。
「それは自殺するよりは、殺された方が楽だという事?」




