360/437
夢の心360
「それにしても貴方は変よ┅」と妻が言った。
ふと私は考えた。
妻の言葉を信じるならば、過去私は自殺した経緯があり、自殺する意気地が無いというのはどう考えても矛盾している。
重ねて何故その忘却の時が私に訪れたのだろうかと私は考えた。
家族の事を忘れ去っているように、私は自殺する勇気をも記憶喪失もろとも忘れ去ってしまっているのだろうか、何故そうなってしまったのかと改めて考えたが、皆目見当がつかないままに妻に対して私は再度哀願した。
「頼む、殺してくれ」
妻がせせら笑い答えた。
「駄目よ」
「何故駄目なのだ?」
妻が再度せせら笑い答えた。
「わざとらしいのよ。そんな事は貴方が一番知っているじゃない。それにしても貴方は変よ┅」




