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夢の心36
「あの女はお前の少しだけある生きたい願望が作り出した幻想なのさ」と黒い闇の声は言った。
再度固唾を飲み私は喚いた。
「いや、僕は死なない。僕にはビンチになると助けてくれる女性がいる!」
黒い闇の声が低い声で笑い答えた。
「そんな女の声はお前の心が都合良く作り出した幻想なのさ」
私は泣き喚いた。
「嘘だ、あの女性は確かにいる。それは僕自身である貴様もよく知っている筈だ!」
黒い闇の声が囁くよう言った。
「お前は重度の統合失調症であり、何度も自殺を図ったのだが、全て未遂に終わり、今度こそ成功させようと、血眼になり生死の境目であるその夢の迷路をさ迷っているのさ。だがお前にはまだ生きたいという願望が少しだけ残っていて、その女はその願望が作り出した幻想なのさ」
私は抗い喚いた。
「ならば貴様は何なのだ?‼」
黒い闇の声が再度囁くように言った。
「お前は最前、俺がお前自身である事を認めたではないか。俺はお前の死にたい願望の、お前の心の本音でもある死に神さ」
私は泣きじゃくり喚いた。
「嘘だ、嘘だ、嘘だ!」
黒い闇の声が物静かな口調でいい放った。
「直ぐに分かる話しさ」




