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夢の心340
「貴方は寂しくないのですか?」と女性が尋ねて来た。
私が踵を返し女性の本から離れようとすると、女性が引き留めるように言った。
「貴方は家族を失い、現実世界から逸脱して寂しくはないのですか?」
私は振り返り目を細めて答えた。
「はっきりと言えば寂しくはない。それが僕の心の無い異常なところかもしれないが、至上なる快楽は自分自身のものだし、それを他者と共有する望みも無いから、寂しさは全くない」
女性が言った。
「そうですか、ならば貴方の至上なる生を満喫成就して下さい」
私は喜悦の笑みを浮かべ答えた。
「分かった。僕は必ず白い闇の自我崩壊を回避して、至上の生の恵みを手に入れてみせる」




