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夢の心34
「俺が楽に死なせてやるから心配するな」と黒い闇の声は言った。
黒い闇の声が、その闇の深さを増しながら言った。
「だからお前はみなしごなのだ」
たじろぎながらも僕は言った。
「ならば僕は何故家を目指しているのだ?」
「お前は淋しい存在で、その淋しさがいたたまれないからさ」
私は恐怖に怯えながら喚いた。
「僕は淋しくなんかない!」
不気味な間をそぞろ置いてから黒い闇の声がおもむろに答えた。
「お前は孤独で、情けないみなしごでしかないのだ。だからお前はここで死ぬ定めなのだ」
私は何とか震えを押さえて言った。
「僕は、死なない」
黒い闇の声が再度うそぶいた。
「俺が楽に死なせてやるから心配するな」




