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夢の心339
「有り難う」と私は女性に礼を述べた。
女性が言った。
「そんな意気地があるならば、生き返る事を念頭に置いた方がいいのではありませんか?」
間を置き私は言った。
「この夢の迷路も黒い闇の快楽も、全て現実世界と同じく肉体感覚を保持出来るのだから、それは明確な意味での死ではないじゃないか。ならば僕は黒い闇の快楽を生の悦びと捉え、それを至上の悦びと捉えたいのだ」
女性が嘆息してから言った。
「そこまで言うのであれば、私は何も言いませんが、当然白い闇の自我崩壊を来す可能性を覚悟して、伸るか反るか、頑張って下さい」
私は恭しく頷き答えた。
「有り難う」




