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夢の心33
「お前はみなしごで、家族はいないのだ」と黒い闇の声は言った。
私は恐怖に怯みながらも反論した。
「愛はある。その証拠に僕は安息たる家を目指しているではないか」
黒い闇の声が不気味な声で応じた。
「お前には家族などいない。お前はみなしごなのだ」
私は震える声で言った。
「みなしご┅」
黒い闇の声が嘲笑うように言った。
「そうだ。お前に家族はいない。だからお前には愛はないのだ」
私は涙声で抗った。
「でも僕は桃の花の心ならば、愛は絶体にあるはずだ」
黒い闇の声がせせら笑い言った。
「みなしごのお前に家族はいない」
私は震える涙声で言った。
「僕はみなしごなんかじゃない」
黒い闇の声がうそぶいた。
「ならばお前は何なのだ?」
私は答えた。
「僕は僕だ」




