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夢の心296
「傷付け合い、殺し合うだけならば、喜怒哀楽なんか必要ないじゃないか?」と私は尋ねた。
困惑しながら私は尋ねた。
「生まれ変わるというのは同じ人間として生まれ変わるのか?」
妻が再度冷笑してから答えた。
「それは違うわ。違う姿形で生まれ変わり、殺し合うのよ」
私はため息をつき答えた。
「この世界には傷付け合い、殺し合いしかないのか?」
妻が首を軽く振り答えた。
「いや、何だってありよね。喜怒哀楽、森羅万象何だってありよ、だからこそ無間地獄なんじゃない」
私は深くため息をつき言った。
「ただひたすら傷付け合い、殺し合うだけならば、喜怒哀楽なんか必要ないじゃないか?」
妻が答えた。
「違うわ。傷付け合いや殺し合いにだって喜怒哀楽は付き物じゃないの」




