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夢の迷路  作者: 岩本翔
270/437

夢の心270

「僕の心の迷いの象徴が君なのさ」と私は言った。

女性が言った。


「でも貴方は自我崩壊するのを誰よりも怖がっているのではありませんか?」


私は答えた。


「いや、だからこそ僕の本心は僕自身を苦しめて追い詰め、白い闇への投身自殺を鋭意誘発させようとしていると思うのだ」


身体の明滅頻度を少しずつ早めながら女性が尋ねて来た。


「自分を自殺に追い込む為に、貴方の本心は貴方自分を苦しめていると言うのですか?」


私は頷き答えた。


「そうだと思う。僕はこの迷路たる僕自身の本心に過酷な現実を突き付けられ追い詰められて、その恐怖にこの迷路をさ迷い、自我崩壊したいのだと思う」


女性がおもむろに言った。


「ならば何故私は貴方が自殺するのを引き留めているのですか?」


私は明快に答えた。


「僕の心の迷いの象徴が君なのさ」


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