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夢の心260
「責め苦に耐えきれない程に脆弱で、罪を逃れる為に自殺に逃げた僕の心は、潔さもなく、けして美しくなんかないと思う」と私は言った。
私は続けた。
「君の言葉通り僕の犯した罪が事実ならば、当然美しくない心には犬死にがお似合いだし、つまり僕の本心は犬死にを望んでいると思うのだが、違うか?」
がらんどうの部屋を背景にしつつ、女性が答えた。
「でも罪を犯したのはあくまでも貴方の表層意識であり、無意識の領域に住まう本心は生きる事を最終的には望んでいますよね?」
私は反論した。
「自己保存本能か、ならば何故僕は自殺を図ったのだ?」
女性か間を置き答えた。
「責め苦に耐えきれず自殺したのですよ」
私は泣き笑いの表情を作り言った。
「つまり僕の心は責め苦にも耐えきれない程に脆弱で、罪を認めるどころか自殺に逃げた、全く潔くもない醜い心ではないか、違うのか?」




