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夢の心255
「でもどんなに責め苦しめられても、思い出せないのだから、僕の本心は本当は死にたがっているのではないのか?」と私は尋ねた。
私は尋ねた。
「しつこく尋ねるが、僕が何も思い出せず、罪を認めなければ僕は死ぬのか?」
女性が頷き言った。
「そうです」
「でも僕は本当に全て忘却していて、自ら死を選んだ事すら覚えていないぞ」
女性が言った。
「だからこそ、貴方はこの自身の心である夢の迷路をさ迷っているのです」
間を置き私は尋ねた。
「これもしつこく尋ねるが、僕の心はこの迷路になり、僕自身を責めているのは僕の生きる願望の顕れなのか?」
女性が再度頷き答えた。
「そうです。貴方の心は生きようとしてもがいているのです。ですから思い出すしか貴方の助かる道はないのです」
しばし黙考してから私は女性の言葉を否定した。
「でもどんなに責め苦しめられても、僕は何も思い出せないのだから、僕の本心は死にたがっているのではないのか?」
女性が首を振り答えた。
「いえ、それは違います」




