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夢の心25
「貴方は家族ではないだろう」と私は言った。
女性が言った。
「貴方は何故家に帰りたいのですか?」
私は答えた。
「こんな真っ暗闇とは違って、家に帰れば温もりがあるからな」
「その温もりは誰が与えているですか?」
私は顔をしかめてから答えた。
「家族だと思う┅」
女性が尋ねて来た。
「貴方には家族を愛する心はないのですか?」
私は苦笑いしてから答えた。
「僕はこの迷路で家族の事を思い出せなくなっているからな。だから家族愛も思い出せなくなっているのさ」
女性が言った。
「でも貴方は家族が温もりを与えてくれると思っていますよね?」
私は認めた。
「それはそうだろう。それ以外はないじゃないか?」
女性が言った。
「ならば貴方はその家族愛が私にあるとは考えられませんか?」
私は言った。
「貴方は家族ではないだろう。違うのか?」




