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夢の心242
「私が傍にいる限り、貴方は殺されたりはしませんから」と女性が静かに言った。
女性が物静かに答えた。
「聞こえません」
私は再度耳を塞ぎ叫んだ。
「僕はこの赤ん坊の声に殺されるのか?!」
女性が否定した。
「いえ、私には聞こえませんから、殺されたりはしません」
私は狂おしく喚いた。
「不条理な事を言うな、君には聞こえていなくても僕には聞こえているのだ、だから僕は殺される、殺されてしまうのだ!」
女性が静かに宥めて来た。
「落ち着いて下さい。貴方は絶対に殺されたりはしませんから」
私は耳を塞いだまま喚いた。
「殺されない保証など何処にあるのだ!」
女性がひたすら物静かな口調で答えた。
「私が傍にいる限り、貴方は殺されたりはしませんから」




