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夢の心239
その無数の赤子の声は私の耳をつんざき、私は声を限りに絶叫した。
愛人が続けた。
「ほら、殺された無数の赤子の声が聞こえるでしょう?」
愛人がこの言葉を言った直後、重複して幾重にも入り込む上下左右の方角も定かではない迷路全体から無数の赤子の声が聞こえて来た。
その声は最初は小さく、段々大きくなって来る。
愛人が私を促すように言った。
「ほら、貴方自身の狂った心が殺した無数の赤子の声よ、どう?」
その無数の赤子の声は私の耳をつんざき、私は声を限りに絶叫した。
そして無数の赤子の声と私の絶叫が折り重なり、重複して、私自身の心の迷路に充満し膨張し狂って、私は無数の赤子の声となり自我崩壊して、ばらばらになり、奈落の底に墜ちて行った。




