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夢の心231
「それこそが夢の迷路の無としての状態意識なのだ、愚か者め」と男ともつかない女ともつかない無数としての単数の夢の迷路の声が言った。
私は再度抗った。
「僕にはれっきとした自意識がある。これが無に帰すと言うのは余りにも矛盾しているじゃないか!」
迷路の声があらゆる無数の人々の声となり、矢継ぎ早に私を詰る。
「夢の迷路での自意識こそが意識なのだ、愚か者め」
私は呪縛され動けないまま叫んだ。
「そんなの余りにも不条理で矛盾しているじゃないか、ふざけるな!」
夢の迷路が捻れを重複させて見知らぬ女性の声で折り重なるように言った。
「矛盾不条理理不尽こそが、夢の迷路の正義、条理なのです」
私は呪縛を解くべく渾身の力を込めて叫んだ。
「ならば僕の自意識は不条理で矛盾した理不尽な意識なのか?!」
男とも女ともつかない無数としての単数の声で夢の迷路が言った。
「それこそが夢の迷路の無としての状態意識なのだ、愚か者め」




