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夢の心230
「いや、お前は既に無としての死を迎えているのだ」と迷路が言った。
不条理な迷路が生きて私を苛む。
私は記憶がなく全く身に覚えがないので、己の罪を認められない。
「お前に生きる資格はない。死ね」
「そうだ、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね」
私は苦悶の表情を浮かべ抗った。
「人間でもない道の化け物に何が分かる、ふざけるな!」
「私は迷路ではなく、お前自身の心なのだから、逆らう事は無駄だ」
「そうだ、お前自身が死のうとしているのだから死ぬしか道はないのだ」
私は涙ながらに抗った。
「僕は死にたくない。嘘をつくな」
迷路全体が矛盾不条理速度を早め嘲笑い言った。
「お前の自我崩壊した無意識は死にたがっているからこそ、無としての夢の迷路の心になったのだ」
私は叫んだ。
「僕は自我崩壊なんかしていない!」
迷路が蠢き言った。
「自我崩壊したからこその苦痛ではないか?」
私は再度叫んだ。
「僕は無に帰してはいないぞ」
迷路が言った。
「いや、お前は既に無としての死を迎えているのだ」




