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夢の迷路  作者: 岩本翔
217/437

夢の心217

「帰れ、腐れ外道!」と愛人が妻の般若の顔付きになり言った。

驚愕している私に愛人が子供の声で続けた。


「皆自分が可愛いんだ。だからお前を棄てたのに、お前は勝手に自殺未遂して、のこのこ現れやがって、腐れ外道、帰れ」


私はたじろぎ言った。


「や、やはりここは夢の迷路なのか?」


愛人が今度は妻の声で言った。


「ここは紛れもない現実よ。私に不倫の罪を擦り付けるつもりなの、腐れ外道!」


私はひたすらうろたえ言った。


「いや、僕は君を連れて妻のところに行かなければならないのだけれども、このマンションは夢の迷路の理不尽な袋小路だし、連れて行っても無駄か┅」


愛人が妻の般若の顔付きになり語気鋭く言った。


「帰れ、腐れ外道!」



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