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夢の心210
「君は僕に家族愛を薦めながら、愛人をやっていたのか?」と私は見ず知らずの女性を詰った。
女性が答えた。
「そうですか、全くの謎ですね。私は貴方に一切見覚えはないし、奥さんから恨みを買う覚えもないけれども、貴方の言った住所とこのマンションの住所は確かに一致しているし、一体どういう事でしょうか?」
私は彼女の話しを聞いている内に気が遠くなり、夢うつつのまま平行移動して行き、幻覚にとらわれ始めた。
まず部屋にある家具や調度品が消えて行き、がらんどうに成って行く。
私はその幻覚にとらわれながら混乱しつつ女性に語り始めた。
「君は僕に家族愛を薦めながら僕の愛人をやっていたのか?」
女性が顔をしかめ否定した。
「何を言っているのですか、私は貴方を今しがた知ったばかりだし、変な言いがかりは止めて下さい」
私は首を振り言い放った。
「何故こんな夢の迷路で君は家族愛を薦め、真逆に愛人をやって、僕を記憶喪失に陥れ、騙しいたぶるのだ?」




