21/437
夢の心21
「それは私の希望でもあるのです」と女性は言った。
私は泣き笑いつつ主張した。
「この迷路自体が絶望ならば、僕が絶望するのは仕方ないだろう?」
女性が言った。
「絶望の中でこそ希望は見出だせるのではありませんか?」
私はため息をつき反論した。
「絶望の中には絶望しかないではないか?」
女性は譲らない。
「いえ、絶望の中にこそ希望は見出だせるのです。絶望の為の絶望などありません」
私はひきつった笑い声を上げてから言った。
「絶望の為の絶望がここにあるからこそ、僕はここにいるのではないのか?」
女性が言った。
「いいえ、貴方は安息の地たる家を心の底から望み、それを希求しているのです。そして┅」
私は訝った。
「そして、何だ?」
女性が言った。
「そして、それは私の希望でもあるのです」




