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夢の心20
「希望を持って下さい」と女性は言った。
私は鼻をすすり言った。
「死んでいたって話しは出来るだろう?」
女性が答えた。
「生きていることを信じるしかないではありませんか?」
私は泣き笑いの声で言った。
「こんな夢幻の中で己の生存を信じろと言われても無理だろう!」
女性が言った。
「でも、貴方は自分の意思を持ち、喜怒哀楽だって捨ててはいないではありませんか?」
私は再度泣き笑いの声を出して嘆息してから女性の言葉を否定した。
「だからそんなのは死んでいたって出来るのではないのか?‼」
女性が言った。
「いえ、希望を持って下さい。貴方は夢の迷路で、目指す安息たる地を望み、さ迷っているのですから」
私は真っ暗闇の中で再度嘆息してから言った。
「安息の地にたどり着ける保障なんかないではないか?‼」
「心に希望を持って下さい。そうすればその暗闇からも脱出出来ますから」




