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夢の心196
どちらなのだ、はっきりとしろ!」と私は喚いた。
女性がおもむろに言った。
「証拠はありません。私は私なのですから」
私は食って掛かった。
「だから君が僕を苦しめる為に妻となり、この夢の迷路で僕に塗炭の苦しみを味併せているのだろう!」
女性が答えた。
「それはそうかも知れませんが、違うかも知れません」
私は怒鳴った。
「どちらなのだ、はっきりとしろ!」
女性が沈思黙考してから答えた。
「どちらでもありません」
私は促した。
「はっきりとしろ!」
女性が答えた。
「私は貴方の妻ではありません」




