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夢の心186
私は散り散りに碎け散った桃の花の心を女性の掌としての言葉に掬われ、おもむろに瞼を開いた。
妻の言葉が私の桃の花の心を粉々に砕き、私は無に帰す自我崩壊をしながら意識が薄れて行き、その薄れた意識を掌で掬うように夢の迷路の女性が言った。
「目を覚まして下さい」
私は女性の掌としての言葉に碎け散った桃の花の心を掬われ、おもむろに瞼を開いて言った。
「ここは何処だ?」
女性が答えた。
「私の家です」
私は女性の顔に重なる妻の般若の如く怒りの形相を見出だし怯え言った。
「許してくれ。僕を殺せば君も死ぬぞ」
女性としての妻が言った。
「何を言っているのか私には分かりません」
私は女性の部屋の中で横たわったまま女性を睨み付け言った。
「君と僕の不倫を、君としての妻は許さず殺そうとしているのだ」
女性が言った。
「ここは夢の迷路ですよ。そして私は貴方を殺そうとしている貴方の妻ではありません」




